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箱根小田原地域の木工芸について

 

 この地域の木工芸というと「寄木細工」「秘密箱」などがまず取り上げられますが、箱根、小田原エリアには古くからその特産品を指す言葉として「箱根細工」という名称があります。これは、この地域に多種多様な細工が存在した証明です。

 

 歴史の始まりは木地師と呼ばれる挽物の職人たち。その伝承は鎌倉時代から始まり、後北条時代には箱根に定住していたという記録があります。漆器、さらにコマなどの玩具、小引き出しや文庫などの指物、家具などが明治時代にかけて発展し、その中で寄木、象嵌、組木、秘密箱、その他多くの技術が工夫され、「箱根細工」を特徴のあるものとしました。

 

 西湘の地に住み着いたろくろ師は、まず材料を求め箱根に移り住み、後年木材の枯渇により小田原にまで木工産地が広がります。箱根-東海道の人々の往来、湯治土産としての人気、江戸への問屋卸、更には横浜港からの輸出等多くの地理的条件によってこの地域は発展してきました。昭和12年には小田原の地に「神奈川県工芸指導所」が発足、この地域の中心を担ってきました。

 

 現在でも、その規模は昔ほどではありませんが、箱根小田原地域には小規模な木工所がたくさんあり、フレキシブルな高い技術を持ち、色々な注文に対応できるちょっとした技術がそろっています。工芸技術所を中心に、幅広い層の職人の交流から新しい可能性を持った地域です。

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